■日本農業新聞 2002年4月9日
インターネットは場所と時間を選ばない。
「ネット産直」は、それが強みだ。
突然、アクセスが急増した。
「サツマイモを日本料理に使いたいのですが。」オーストラリアに住む料理人からの
電子メールだった。
「サツマイモ焼き機の展示会に」「パチンコの景品で」・・・・。
よそうできなかった反響が、次々と届いた。
東京・池袋の高層ビル、サンシャイン60の一室。
パソコンと格闘する農家やJA職員を前に、講師の声は強まった。
「ネット産直は会社経営と同じ。軌道に乗るまでは、
頻繁にページを更新し、ネット上での営業活動が必要です。」
日本農村情報システム協会が催す産直ホームページの講習会。
茨城県下館市の潮田武彦さんは、農家講師の一人だ。
2000年にホームページ「潮田農園のさつまいも」をオープンした。
ページを見た世界の人々から、アクセスが始まった。
家は肥料屋。家業を継ぐことを決めたとき、独自の肥料を使う「潮田農法」
の芋に絶対の自信を持っていた。
「市場出荷以外の販売方法はないか。」
ネットを選んだのは、若い感覚として自然だった。
最初は業者まかせ。五万円と安かったが、中身は気に食わない。
作成ソフトや基礎本を買うのに時間はかからなかった。
始めの半年は一日三時間以上、農作業の後や早朝に目をこすりながら、
本や画面と格闘した。
ページで勝負できるのは説明文と画像だけ
「スーパーとの違いを出す文章は」「若い人に見てもらう色使いは」
「親しみのある写真は」何度も作り直した。
ユーザーはトップページを見ただけで、買うか買わないかを決める。
講師に誘ってくれたネット産直の先輩、谷中市夫氏からの格言が
頭に刻まれていた。
芋の大きなイラストと笑顔で寄り添う両親の写真でトップページを埋め、
目を引かせた。何より、文章や写真で作者をさらけ出して、信頼を得ることを
心がけた。
検索ページで圧倒的シェアーのヤフー。
登録されれば一流の証だ。2000年12月、サツマイモの産直のページとして
唯一登録が認められた。
「とろける甘さは忘れられません。」
うれしいメールが次々届く。農作業の近況を添えて返信する。
信頼関係が生まれ、また買ってくれる。
ネットの営業は、すなわちお客とのコミュニケーションをとることだ。
昨年秋、購入者にサツマイモ堀にきてもらった。
一月には出身大学である東京農大の近くの家々に
ページを紹介した「年賀状」を配った。
生産に加え、宣伝、営業。
ネットは、この三つを、一農家ができるようにした。
潮田農園・さつま芋 |
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